訪問リハビリの仕事は、大変なこともあります。
もちろん、仕事と子育てを両立するのも簡単ではありません。
それでも私は、これからも訪問リハビリの仕事を続けていきたいと思っています。
そう思えるのは、この仕事だからこそ味わえる嬉しい瞬間がたくさんあるからです。
今回は、私が実際に働いていて「訪問リハビリをやっていてよかった」と思った瞬間を書いてみようと思います。
利用者さんの「ありがとう」が近い
訪問リハビリでは、利用者さんと1対1で過ごす時間がほとんどです。
ご家族がいらっしゃる場合でも、別のお部屋で過ごされていることが多く、約1時間じっくりとお話しをしながらリハビリを行います。
リハビリだけでなく、最近のお孫さんの話や昔の思い出、時にはご家族に話しにくい悩みを聞くこともあります。
毎週訪問していると、自然と顔や名前を覚えてくださいます。
リハビリが終わる頃には、
「今日もありがとう。」
「来週もよろしくね。」
そんな言葉をかけてもらえることも少なくありません。
また、困ったことがあると相談してくださったり、リハビリを週2回に増やすときに「もう1回も○○さんに来てほしい」と言っていただけたりすることもあります。
もちろん、1対1だからこそ人との相性もあります。
それでも、信頼関係が気づけた利用者さんからの「ありがとう」は、訪問リハビリならではのやりがいの一つだと感じています。
できなかったことができるようになった瞬間
訪問リハは「生活期」「維持期」と呼ばれる時期の利用者さんのお宅へ伺うことがほとんどです。
生活期のリハビリでは、病院のように目に見える大きな変化がすぐに現れるとは限りません。
それでも、毎週のリハビリや自主トレーニングを積み重ねることで、少しずつできることが増えたり、動作が楽になったりすることがあります。
例えば、
・家の中を歩けるようになった
・歩ける距離が延びて買い物へ行けるようになった
・椅子からの立ち上がりが楽にできるようになった
・階段を1足1段で昇降できるようになった
・洗濯物を干せるようになった
など、生活の中での嬉しい変化がたくさんあります。
一つ一つは小さな変化かもしれません。
でも、その「できた」が利用者さんの自身につながったり、ご家族の安心に繋がったりする姿を見ると、この仕事をやっていてよかったなと思います。
利用者さんやご家族と一緒に喜べる
利用者さんがご家族と同居している場合、日々の変化をご家族が実感できるというのは、病院との大きな違いだと思います。
そして、その変化を家族と一緒に喜べるというのも、訪問リハのいいところです。
ケガや病気をした後は、ご家族が心配するあまり、少し過保護になってしまうこともあります。
しばらく入院していたのであれば、心配になるのも無理はありませんよね。
そこで、しばらくやっていなかった家事に近い動きや、実際の家事をリハビリの中で一緒に練習します。
すると、リハビリ以外の時間にも「やってみようかな」と思ってくださる方がいます。
実際にご自宅でやってみると、ご家族から
「できるんだ!」
と驚かれることもあります。
また、あまり外出する機会のない利用者さんと、屋外歩行の練習をすることもあります。
少しずつ歩ける距離を伸ばし、体力がついてきたとことで、
「ご家族で買い物に行ってみてはどうですか?」
と提案することもあります。
そして実際にご家族と買い物に行ってくださると、
「あれ、お母さんこんなに歩けるの?!」
「今度はあっちのお店に行ってみようか」
なんて会話があったりします。
すると、利用者さんの行動範囲が少しずつ広がっていきます。
これは、利用者さんにとっても、ご家族にとって嬉しい変化です。
そして、その報告を聞けた私ももちろん嬉しくなります。
リハビリの時間内でできることが増えるのも嬉しいですが、実際の生活の中で変化があったと聞けたときは、本当にこの仕事をやっていてよかったと思います。
人生の先輩の話がきける
普段生活していると、祖父母以外で70~90代の方とじっくりお話しする機会は、なかなかありません。
もちろん、他の仕事でも目上の方と接することはあると思いますが、リハビリの仕事では70~90代の方と関わる機会がとても多くあります。
私は30代前半なので、世代間のギャップを感じることもあります。
でも、そのギャップがあるからこそ「そんな時代だったんだ!」と驚かされることも多く、利用者さんから聞く話を楽しみにしています。
例えば、戦時中の話。
都会に住んでいた方から田舎へ疎開した話や、当時の暮らしについて聞かせてもらうことがあります。
今の私たちには想像することも難しいような時代の話を、実際にその時代を生きてきた方から聞けるのは、とても貴重な経験だと思っています。
子育ての話も興味深いです。
今とは全く違う子育て事情で、布おむつを使っていた話や、ご主人は育児にほとんど関わらなかったという話など、今の子育てとは違うところもたくさんあります。
「昔はそんな感じだったんだ!」と驚くこともあれば、「今も昔も子育ては大変だったんだな」と共感することもあります。
若い頃にどんな仕事をしていたのかという話も面白いです。
「実は会社を経営していたんだよ」
「息子が今は会社を継いでいるんだ」
なんて話を聞いて、「え!そうだったんですか?!」と驚くこともあります。
もちろん、夫婦の話を聞くこともあります。
家族で旅行へたくさん出かけた思い出や、ご主人がスピードを出しすぎて何度も交通違反で切符を切られた話など、長い夫婦生活の中でのエピソードを聞かせてもらうこともあります。
リハビリとは直接関係のない話も多いのですが、こうした何気ない会話も訪問リハビリの楽しみの一つです。
自分がまだ経験していない時代や人生について、実際に経験してきた方から直接聞くことができる。
これは、訪問リハビリの仕事をしているからこそ得られる貴重な経験だと思っています。
子育て中だからこそ励まされることもある
何年も訪問リハビリを利用してくださっている利用者さんは、私の子どもの年齢を覚えてくれています。
なんなら、名前まで覚えてくれている方もいます。
最近の子育ての悩みを話すと、
「私の子どもも、そういうときがあったな~」
なんて言いながら、アドバイスをしてくれることもあります。
今しかない子どもの可愛さも、今しかない子育ての大変さも知っている、人生の大先輩です。
子どもの体調不良で仕事を休んでしまったときも、訪問すると開口一番に、
「お子さん、大丈夫?」
と心配してくださる方がほとんどです。
リハビリをしに訪問しているのは私の方なのに、いつの間にかこちらがやさしさで包まれているような気持ちになることがあります。
子育て中だからこそ、利用者さんから励ましてもらったり、元気をもらったりすることもある。
これも、私が訪問リハビリを続けていてよかったと思える理由の一つです。
大変なことがあっても続けたい理由
ここまで書いてきたように、訪問リハビリは大変なこともあります。
特に子育てをしながら働いていると、スケジュール調整や利用者さん・ご家族との関わりなど、難しいと感じる場面もあります。
それでも、利用者さんから「ありがとう」と言っていただけたり、できなかったことができるようになったり、ご家族と一緒にその変化を喜べたり。
仕事をしているはずなのに、こちらが利用者さんから励ましてもらうこともあります。
そんな嬉しい瞬間があるからこそ、私はこの仕事を続けたいと思っています。
子育てを優先するために、働き方は変えました。
以前のようにたくさん働くことはできなくなりましたが、訪問リハビリという仕事自体が嫌になったわけではありません。
むしろ、今の自分の生活に合わせた働き方で、これからも利用者さん一人ひとりと丁寧に関わっていきたいと思っています。
大変なこともありますが、それ以上に「この仕事をやっていてよかった」と思える瞬間がある。
それが、私がこれからも訪問リハビリを続けたいと思う理由です。

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